筆者はDTM用のパソコンとして、TSUKUMO(ツクモ)が販売するBTOパソコン「eX.computerシリーズ」のうち、「AeroSlim」を6年間使用しました。
2018年現在までに故障などのトラブルは1度も無く、8万円台(2012年の価格)という安価ながら高いパフォーマンスを発揮してきました。
本記事では、AeroSlimの特徴について、DTMer観点から評価してみました。
CPUやメモリのパフォーマンスは組み合わせ次第で変わってしまいますので、今回はなるべくパソコン全体を見ての評価になります。
あなたが「DTM用途のパソコンを購入したいが、何を選べばよいのか・・・」とお考えの際には参考になれば幸いです。
なお、最初に結論だけ述べておくと、あなたが「AeroSlim」をご購入を検討される際には、
- 録音はオーディオインターフェースの使用をお勧め
- 動画製作や3Dの高画質なゲームをやりたいときは「AeroSlim」ではなく「AeroStream」を選択
といった点にご注意ください。
Contents
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筆者が利用している「Aeroslim」
2012年当時としては高いスペックで買いました
筆者は、DTMパソコンとして、TSUKUMO(ツクモ)が販売するBTOパソコン「eX.computer」シリーズのスリムケースPCである「AeroSlim」を利用しています。
下記スペックで、購入金額は86,829円です。
- eX.computer AeroSlim
- OS Windows 7 Professional 64bit
- CPU Core i7-3770(Ivy Bridge)
- RAM 16GB
- HDD 1TB×2(OS用、音源/楽曲ファイル保存用)
- VGA オンボード
- 延長保証
上記構成は、2012年当時の一般人向けのパソコンとしては、ほぼ最高に近いスペックだとお考えください。
2018年1月現在ならば、
- eX.computer AeroSlim
- OS Windows 10 64bit
- CPU Core i7-7700(Kaby Lake)
- RAM 16GB
- HDD 1TB×2(OS用、音源/楽曲ファイル保存用)
- VGA オンボード
- 延長保証
みたいなものです。
AeroSlimって何よ?
スリムケース型のデスクトップPC
TSUKUMOのスリム型PCのシリーズ名です。同ショップでは、
- スリムケースのAeroSlim
- ミニタワーのAeroStream
- ミニタワーでゲーム用途のG-GEAR
を販売しており、よりサイズの小さいデスクトップPCが「AeroSlim」です。
スリムケース? or ミニタワー?
一般に、デスクトップパソコンは
- サイズが大きいミニタワーは拡張性の優れるものの、物理的に場所をとる
- サイズが小さいスリムケースは拡張性が劣るものの、物理的な場所はとらない
といった特徴があります。
「拡張性」とは多くの場合、グラフィックカードの有無を示します。
グラフィックカードは、3DのPCゲーム(fps:ファースト・パーソン・シューティングゲーム)や動画編集に強い力を発揮しますので、
- 3DのPCゲームや動画編集をやるならミニタワー
- 3DのPCゲームや動画編集をやらないならスリムケース
を選ぶことになります。
2012年当時の筆者は3DのPCゲームや動画編集をしない、と考えたため、スリムケースである「AeroSlim」を購入しました。
「AeroSlim」でこんな曲作りました
このクロスフェードの曲は、すべて本機で作ったものです。
さすがに2018年になって出てきたソフトシンセの一部には性能的に追いつかなくなってきましたが、まだまだ戦えると思ってます。
「AeroSlim」の特徴
写真左側が前面で、写真上側が縦置き時に下になります。
写真左下の正方形部分がDVDドライブ、写真左上はHDD、写真右上の長方形は電源ユニットです。
また、本機のCPUクーラーはリテール品です。スリムケースですが、ケーブル類はすっきりとまとめられており、内部は整理されています(上記写真は購入時のままです)
HDDは前面下方に2台設置可能です。通常は1台ですが、BTOで2台搭載するよう注文可能です。
写真には写っていませんが、サイドパネルには冷却を行う増設のファンが取り付けられています(後述する防塵カバーの部分)。
Aero Slimの耐久性と耐埃性とメンテナンス性
約14,000時間運用(2018/01/19時点)の間に、ハードウェアトラブルは一度もありません。
筆者のPCはふとんの横という、ホコリの出やすい環境で使っていますが、側面の防塵カバーで、ホコリの侵入を防げます。
購入1年以上経って初めて蓋を開けた時も内部はキレイでした。
その代わり防塵カバーの部分にはホコリがたまりますので、エアダスターなどで定期的に掃除してあげてください。
上級者向け:パソコン内部にアクセスしたい場合
背面にあるネジ3つを取り外すと天板を外せます。
感電や断線の恐れがありますので、内部にアクセスする場合には、コンセントから電源を抜き、その上で慎重に蓋を外すようになさってください。
拡張性
OSと音源ライブラリに分けられる最大2台のストレージ(HDD・SSD)に対応
AeroSlimは3.5インチHDD(もしくはSSD)を2台搭載できるため、OS用のHDD(SSD)とソフトシンセのライブラリ用のHDDと分けての運用が可能です。
このように2台に分けた場合、パソコンの本体価格は上がってしまうものの、OSの動作とソフトシンセが別々に動作できるため、DTMでの快適さは高まります。
さらに、OSのドライブが破損したときに、ソフトシンセのライブラリが入ったドライブを取り外せば、データを守ることができます。
ライセンスキーにも使える豊富なUSBコネクタ
USBコネクタは8スロットと一般的なデスクトップPCの範囲内です。
DTMでは、ソフトシンセのライセンスとしてUSBドングルを利用することが多いため、USB-オーディオインターフェースと合わせて使用してもコネクタ不足になりにくいのが特徴です。
また、この写真には写っていませんが、前面側(フロント側)にもUSBコネクタがあります。
ここが弱点:グラフィックカードはロープロファイルのみ
本モデルのグラフィックカードはロープロファイルのみ対応です。
しかも、電源出力も300Wですので、グラフィックボードはローエンドの使用が前提となります。
つまり、あなたがAeroSlimを購入後に、3Dのゲームや動画編集を始めたくなったとしても、その際の拡張性には制限がある、ということです。
もし1mmでもそれらに興味があるのでしたら、あなたが買うべきはAeroSlimではなく、AeroStreamです。
冷却性能と静音性
Intelのリテールクーラーと12mmの側面冷却ファン(オプション)を使用しており、筐体内の冷却性能は高めています。
その代わり、どうしても冷却ファンの動作音があります。
一般的なパソコンの範囲での動作音ですが、高い静音性にこだわる場合にはご留意ください。
音を録るためのライン・マイク入出力
ラインとマイクの入出力は前面、背面ともにあります。
あなたが初めてのDTMでオーディオインターフェースを持たない場合には、このラインとマイクの入出力に直接ケーブルをさして音を録ることになります。
ただ、これは本機に限らず、直接のライン録りはパソコン特有のノイズや音痩せが生じるため、正直あまり良い音は録れません。
こればかりはどのパソコンでも回避できませんので、本機のUSBコネクタの多さを生かして、USB-オーディオインターフェースの使用をお勧めします。
なお、ヘッドセットを用いてのスカイプ通話やライン通話ももちろん可能です。
付属ソフトウェア
セキュリティソフト(カスペルスキー)の90日体験版と、HDDバックアップ用途のeX.Backup2のみです。
その他のプリインストールソフトウェアは一切ありませんので、パソコンの全てのリソースをDAWやソフトシンセに注力することが出来ます。
セキュリティソフトは、PC購入時にライセンスを同時購入することもできますから、そちらのほうが便利です。
「液晶ディスプレイ」を同時に購入しよう
AeroSlimおよびAeroStreamには「液晶ディスプレイ」が付属しませんので、そのままではパソコンを画面に映すことができません。
同時でも、PC購入後でも良いので、液晶ディスプレイを買うのを忘れないでください。
AeroSlimのサポート。もしも壊れたら?
幸い、故障経験が無いため、ツクモのサポートを利用したことがありません。
その評判を求めている方にはごめんなさい。
筆者は1年間通常保証のほかに延長保証(3年間)も契約しています。
延長保証は、通常利用での破損のほかに、火災や地震などの天災による破損も無償修理の対象になる珍しい保証です(地方自治体発行の罹災証明書が必要になります)。
修理できる場合には修理を、修理できない場合には、購入金額と使用年数に応じたポイント保証となります。
補償申請日 ポイント補償限度額 購入日より1年未満 商品金額(税抜き)の80% 購入日より1年以上2年未満 商品金額(税抜き)の60% 購入日より2年以上 商品金額(税抜き)の40% 修理不可能時の保証額(eX.computer延長保証 (PC本体 3年保証)より引用)
延長保証は保証料(2160円~)が必要ですので、「故障を不安に感じるようなら加入する」で良いと思います。
なお、初期不良に関する話題は下記をご覧ください。
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「TSUKUMO」のショップとしての評判
最後に、購入を検討されているあなたが気にされる点の1つとして、販売ショップである「TSUKUMO」の評判があると思います。
筆者がネット上での口コミや評判を検索すると、TSUKUMOのことを好きだという意見や、信頼しているという意見を見受けられます。
筆者個人も最終的に購入の決め手になったのはショップの評判でした。
6年間トラブルなしですから、ショップの評価をするのは難しいものの、パソコン本体に大変満足しています。
なお、「TSUKUMO」は上場企業であるヤマダ電機の傘下ですから、まったく謎の企業ではない点は挙げておきます。
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TSUKUMO ネットショップ
まとめ
- 「eX.computer」シリーズはTSUKUMOのBTOパソコン。TSUKUMOはヤマダ電機傘下のPCショップのこと
- 「AeroSlim」はスリムケースPCなので、場所はとらないが拡張性には劣る。将来ゲームや動画編集に興味を抱いたときに不利になる
- 故障に不安を感じるなら「延長保証」を利用しよう。わずかの掛け金で3年間の保証。もしも修理不可時にはポイントでの還元
eX.computerシリーズのご購入を検討される場合には、「録音はオーディオインターフェースの使用をお勧め」ということと「AeroSlimはスリムケースなので、拡張ボードはロープロファイル限定」の2点にご留意ください。
繰り返すように、あなたが3DのPCゲームや動画編集に興味があるなら、ミニタワーである「AeroStream」系列の購入をおすすめします。
というわけで、あなたにとって良いDTMマシンが見つかることを願っております。
なお、2018年になって、さすがに筆者もPCの買い替えを考えています。
次どこで買うかと言われたら、また「TSUKUMO」で買いますよね。
最近は動画編集やディープラーニングやらに興味が沸いているので、AeroStreamにグラボ搭載したPCを買うことになりそうです。
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